道後温泉本館を徹底解剖

道後温泉のシンボル・道後温泉本館

道後温泉街の中心に鎮座する現在の道後温泉本館は、1894年に誕生した公衆浴場です。城大工・坂本又八郎が手掛けた建物は、当時でも珍しいとされる木造三層楼、塔屋を設けた重厚感のあるたたずまい。その建築的価値が認められ、1994年には現役の公衆浴場として全国で初めて重要文化財に指定されました。明治から昭和初期にかけて増築・改築を繰り返した結果、細い通路や急な階段が複雑に入り組んだ館内となり、迷宮さながらの雰囲気が随所に漂います。2種類の浴室と3種類の休憩室を組み合わせた4つの入浴コースがあり、日本最古の道後の湯を、浴槽はもちろん、洗い場の蛇口の湯に至るまで、無加温・無加水の源泉かけ流しで堪能できるのが魅力です。昼間の姿も美しいですが、周囲のガス灯が灯り建物全体があでやかに浮かび上がる夜の姿も格別。2019年1月15日(火曜日)から保存修理工事をしていますが、工事中も入浴可能です。
広々とした神の湯、高級感あふれる霊の湯
道後温泉本館には、広々とした造りの「神の湯」、高級感あふれる「霊の湯」の2種類の浴室があります。いずれも風情ある趣が漂い、地元の人はもちろん、観光客で浴室は常に賑わっています。営業時間は朝6:00から。道後温泉の名物でもある振鷺閣の「刻太鼓(ときだいこ)」は、朝6:00、昼12:00、夜18:00の一日3回鳴るので、刻太鼓を聞いてからお湯に浸かるのも一つの楽しみ。
神の湯
神の湯は、男湯2つ、女湯1つの浴室からなり、道後温泉にまつわる伝説を描いた砥部焼(愛媛の伝統工芸品)の陶板が壁を飾ります。
霊(たま)の湯
霊の湯は、天皇や皇室の随伴者、政府要人のために作られた浴室。浴槽には、日本三大花崗岩のひとつ庵治石や、しまなみ海道の大島で採掘される最高級の石材・大島石、壁には大理石を使った高級感ある造りとなっています。
お茶とお菓子のお接待に心まで温まる、個性豊かな3種類の休憩室
道後温泉本館での湯上りの後の楽しみは、浴衣姿で憩室でゆっくりくつろぐこと。休憩室は個室、中広間、大広間の計3種類あり、お茶とお菓子の接待が受けられ、浴衣の貸し出しも行っています。初めての方には、神の湯入浴+神の湯二階大広間での休憩がセットになった840円のコースがおすすめ。
神の湯二階大広間
道後温泉本館を象徴する休憩室。かつて3室に区切られていた部屋を55畳の大空間にしたもので、多くの利用者がくつろいでいます。
霊の湯二階小広間
25畳とこぢんまりしていますが、落ち着いた雰囲気が魅力的。神の湯、霊の湯の浴室へ続く専用階段があるのも特徴です。
霊の湯三階個室
3階にある「霊の湯三階個室」は、床の間を備えた数寄屋造りの個室です。わずか8室しかないスペシャルルームは、かつて夏目漱石も頻繁に利用していたと言われています。
由緒ある館内をじっくり見学しよう
道後温泉本館では、館内の貴重なスポットを見学できるのも醍醐味です。1899年に増築された「又新殿」は、日本で唯一の皇室専用の湯殿。4畳の前室、8畳の御居間、その奥の一段高い場所に玉座の間があり、桃山時代風の豪華絢爛な装飾が目を引きます。また、夏目漱石がよく通った個室を公開した「坊っちゃんの間」、昔の湯札や来訪帳など貴重な資料を紹介する「展示室」は無料で入ることができるため、湯上り前後にぜひ見学を。
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「湯玉(ゆだま)」を探してみよう!

「湯玉(ゆだま)」を探してみよう!

道後温泉のシンボルマークが館内随所に

「湯玉」とは、温泉が沸騰時に湧き上がる湯の泡や宝珠をモチーフにしたマークのこと。道後温泉のシンボルマークとしていろいろな場所に用いられています。一筆書きのようなシンプルなものから炎をまとったものまで、デザインはさまざま。道後温泉本館の正面玄関入り口、浴衣の柄などにも湯玉が隠れており、一説によると2,000個以上も存在するとか!道後に来たら、ぜひ湯玉探しも楽しんでください。